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特別無料公開「本当にいい会社とは?④」企業分析力養成講座 プロフェッショナル版

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※「企業分析と価値創造」の第2講「本当に良い会社とは?」の動画を元に、作成されています。

前回は,PLとBSは、ぐるぐるとまわります。そして、PLとBSを分けるものは、「継続して使えるものか、1回のインプットで済むものか」という解釈によって決まっているということもお伝えしました。

今回は、PLとBSの関係を見ていきます。

 

キャッシュフローと利益はどう違うの?

それでは若干、復習にはなりますが、キャッシュフローと利益の関係を見ていきましょう。

マトリクスの下だけ持ってきていますが、設備投資50億円で、赤字30億円。

キャッシュフロー上では30億円の赤字ですね。ところが、設備投資の50億円を、5年間で費用に落としていくと。そうすると費用として設備に投資した分は10億円なので、売上から他のコストを引いても、利益が10億円出るということになりますね。ですので、キャッシュフローベースで見たら30億円の赤字です。

一方で、利益ベースで見ると、10億円のプラスになっているわけですね。これがキャッシュと利益の違いです。何度も繰り返しますが、利益は解釈であり、キャッシュフローは事実です。

 

プロが利益ではなくキャッシュフローを見る理由

プロはなぜ利益よりもキャッシュフローを見るのか、というと事実を重視しているからなんです。

キャッシュフローには50億円の設備投資をしたと出るわけですが、会計では、この50億円というのは5年間使うんだから10億円ずつ落とすのが正しいだろうという風に企業が考えて、コストは10億円ですと出るわけです。

プロは、今年した50億の設備投資は償却期間は5年が適当なのか10年なのかという解釈を自分でしますし、その人の能力が出ます。「5年も10年ももたないぞ。」ということであれば自分で費用とか見積もりを変えて、BSやPLを作り変えてしまうわけです。

今、様々な電気メーカーがいきなり赤字だとか、倒産だとか、買収されるとか、そういったケースが出ていますが、利益を見ると、「あれ、なんで急に倒産しそうになってるの?」と思ってしまいますが、ちゃんとキャッシュフローを見ていれば、営業キャッシュフローがずっと赤字だったりしているわけです。

ですので、三期連続で営業キャッシュフローが赤字の場合は、これはもう破綻直前だといえると思うんですよ。なのでもっと我々はキャッシュフローを見ようと意識していく必要があると思います。

 

償却は、積み木落としのように・・・ 

これが会計の考え方ですね。

50億円投資した場合は10億円ずつ積み木落としのように減っていって、コストになっていって、資産がコストに振り分けられると。利益は10億円ずつ出てますねと。

 

キャッシュフローと利益は何が違うのか?

キャッシュフローと利益の関係ですけども、利益というのは意見であり、「一定期間の成果を会計というルールで決めたもの」です。

 

なぜ、こんな風に決めるのかと言うと、実際の企業運営というのは、企業の成果は波打つような感じになるからなのです。フリーキャッシュフローの説明の部分でもお伝えしましたが、投資してリターン、投資してリターンというように波のようになっているんです。これじゃあ企業の成果はよくわからないですねということになるのです。

ですから会計というルールの中で、「期の成果を計るためには、いろんなことを調整した方が良いね」ということで、減価償却をしたりして、「利益」というものが出てきているわけです。

つまりキャッシュフローは事実で、利益は会計というルールに基づいた評価ですよというのがポイントになります。

 

ここまでのまとめ

ここまでのまとめです。何度も繰り返しますが、利益は解釈であり、キャッシュフローは事実です。

なぜ、こんな風に決めるのかと言うと、実際の企業運営というのは、企業の成果は波打つような感じになるため、「期の成果を計るためには、いろんなことを調整した方が良いね」ということで、減価償却をしたりして、「利益」というものが出てきているわけです。

今回も、ここまでお読みいただいてありがとうございました。次回は、PLとBS、キャッシュフローの3つの関係を紐解き、資産と利益のバランスの重要性についてもお伝えしていきます。

 

 過去の記事はこちらから
第1回「ケース: P/LとB/Sを分析する」
第2回「ケース: CFを分析する(CFで見る会社のライフサイクル)」
第3回「 P/LとB/Sは意見によって切り分けられる」
第4回「 C/Fは事実であり利益とは解釈である」
第5回「C/FとB/S、P/Lの知ってそうで知らなかった関係」  
番外編「ケース:そもそも結婚にいろいろと詰め込みすぎでは?」